店頭かネットかを問わず古本探しの好きな人にとって,古本との付き合いを,より楽しくしてくれる一冊。仕入れ方法における「店買い」と「宅買い」,それに「市場仕入れ」の違い,さらには,入札方法の実際について,知らない方はぜひ一読を。また,値の張りそうな古本を安く買い集めて,古本屋に高く売る「セドリ」の存在が,市場の源流となったという話にも納得。全国チェーンの新古本屋の店内で,ネットで高く売れそうな本を携帯サイトをチェックしながら「仕入れる」若者の姿を連想してしまうのは私だけではあるまい。著者が実際に出会った蔵書家を淡々と紹介する第5章がとくに印象的だったほか,脇村義太郎の『東西書肆街考』(岩波新書)や,奥本大三郎『虫のゐどころ』(新潮文庫)を読み直すきっかけを作ってくれたことにも感謝。
古本が好きという人間は昨今を問わず存在する。また古本屋を利用する人間には何種類か存在する。ひとつは本のコレクター。本自体の蒐集かである。そしてもうひとつはその本を必要としている人。昨今の新刊本の氾濫。本の短命化などにより、本の流通についても変わりつつあるのかもしれないが、本書を読むと古本市場というものの大切さや面白さが伝わってくる。古本に今一段と興味が湧いてくる一冊。
古書業界の裏のウラまで知り尽くした著者。必然的に登場する蔵書家・コレクターもメガトン・ヘヴィー級。ノンポリ・軟弱読書人である小生はひたすら圧倒されるばかり。まだまだ本への愛情が足らないなあ・・・。ピックアップされている稀こう本もディープな本好きでないと有難みすらわからないかも・・・な古本ワンダー本。よりイージーに楽しめる古本業界本としては北尾トロさんが書いた「ヘンな本あります」シリーズがオススメ、です。
この本の著者も書いているように、今「古本」がブームのようである。古本屋巡りの案内書も数多く出版され、ここが古本屋かと思えるような「おしゃれな」古本屋もできてきた。が、この本はそのような流行を追っているわけではない。あくまでも「古本とは何か」、「古本の価格はどうやって決まるのか」、「古本屋の仕事とはどのようなものか」、「古本を上手に売る方法」などを幅広く紹介してくれる。勿論、ある有名な古本屋の主人についての記述もあり、古本業界の奥深さを感じ畏敬の念にも似た感情を抱く件もある。ただ、あまりにバランスよく書かれているのでマニアックな読者には物足りないかもしれない。