特殊法人改革を政権の最大の眼目に据える小泉内閣。そのブレーンである行革断行評議会で議論をリードする著者が、住宅金融公庫と都市基盤整備公団、雇用・能力開発機構の廃止、解体論をまとめたのが本書である。 住宅金融公庫を廃止すれば、融資の対象である低所得者層はどうなるのか、民間に公庫並みの条件のローンが組めるのか、といった疑問がまず浮かぶ。前者について著者は、「本当に貧しい人は住宅金融公庫からも借りられない」とし、一部の国民にしか税金が投入されない不公平さや、公庫が民間のターゲットである中所得者層に融資する「民業圧迫」の実態などを指摘している。後者については、民間からも低利、長期固定の住宅ローンが出ているとして2つの商品を紹介。それが「証券化」の資金調達など新しいアイデアによって実現していることを解説している。これら民間の事例が、本書の最大の説得力になっている。 同様に雇用・能力開発機構(独立行政法人化が決まっている)についても、民間の事例を紹介しながらその存在意義を問うている。なかでも非効率なハローワークや民間の参入を阻む規制などへの批判は手厳しい。同機構の解体で生まれる巨大な人材サービス市場やビジネスに関する論考は、関連企業の注目の的である。 ほかにも民間金融機関の社長の論文、行革断行評議会による「住宅金融公庫の廃止・民間市場化案」(2001年8月28日付)、各特殊法人への天下りリストなど内容は盛りだくさんである。改革を骨抜きにする勢力やシステムを「日本病」と指弾する、著者渾身の1冊である。(棚上 勉)